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3Dプリンターで作ると違法なもの│逮捕の可能性があるケースとは?

2023年10月19日
  • その他
  • 3Dプリンター
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3Dプリンターで作ると違法なもの│逮捕の可能性があるケースとは?

3Dプリンターの登場によってアイデアを簡単に具現化できるようになり、開発期間の短縮化やコストの削減など、さまざまなメリットが得られるようになりました。比較的安価な機種も販売されるようになり、中小企業だけでなく、個人単位でも気軽に購入できるようになっており、ますます需要は高まっていくといわれています。

さまざまな活用事例が増えていますが、一方で、3Dプリンターを悪用した事例も耳にするようになりました。なかには刑事事件に発展し、容疑者として逮捕された事例も存在します。

本コラムでは、法的な角度から、3Dプリンターで製造してはいけないもの、製造や販売にあたって気をつけるべきポイントなどについて、ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスの弁護士が解説します。

1、3Dプリンターに関連して逮捕された事例

まずは、3Dプリンターに関連して逮捕された事例をいくつか紹介します。

  1. (1)3Dプリンターで「拳銃」を製造した

    3Dプリンターを使用して殺傷能力をもつ樹脂・プラスチック製の拳銃を製造して逮捕されたという事件は、すでに複数の事例が報告されています

    殺傷能力をもつ拳銃は、耐久性の問題から樹脂・プラスチックでは製造不能という情報もあるので、3Dプリンターによるコピー品は違法にならないと考える方がいるかもしれません。

    しかし、警察が、事件で使用されたものと同種の3Dプリンターを使用してほぼ同じものを製造して再現実験を行ったところ、殺傷能力をもっていることが確認されています。

  2. (2)「3Dプリンターを使えば性器の造形を出力できるデータ」を配布した

    3Dプリンターから立体物を製造するには、CADなどで作成した3Dデータが必要です。

    本人が3Dプリンターで製造したわけではありませんが、3Dプリンターを使えば女性器の造形を出力できるデータを配布した容疑で、女性漫画家が逮捕・起訴された事例もありました。
    本人は表現や芸術の観点から「わいせつ性はない」と主張しましたが、刑事裁判では有罪判決が言い渡されています

2、3Dプリンターで製造してはいけないもの

3Dプリンターは、3Dデータさえあればほぼどんなものでも立体物として造形できる機器です。しかし、製造すれば犯罪になってしまうものも存在するので、注意しなくてはなりません。

具体的には以下のものが挙げられます。

  • 拳銃
  • 通貨
  • 特殊開錠用具
など


通貨などのように、模造品であっても製造が禁止されているものは、当然3Dプリンターでも製造禁止です。

拳銃などであれば武器等製造法違反や銃刀法違反に、硬貨などであれば刑法第148条の通貨偽造罪に、それぞれ問われるおそれがあります。

また、製造は禁止されていなくても、不法な侵入に用いるピッキング用具などの特殊開錠用具のコピー品は、所持すること自体が「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」違反になります。
各違法行為には、次のような刑罰が科せられます。

  • 拳銃の無許可製造
    3年以上の有期懲役
  • 拳銃の所持
    1年以上10年以下の懲役(拳銃の数が2丁以上の場合は1年以上15年以下の懲役)
  • 拳銃と適合実包の両方を所持
    3年以上の有期懲役
  • 通貨偽造罪
    無期または3年以上の懲役
  • 特殊開錠用具の所持
    1年以下の懲役または50万円以下の罰金

3、3Dプリンターで製造・販売するときに注意すべきもの

これから挙げるようなものは、3Dプリンターで製造してもただちに違反というわけではありません。

ただし、他人に販売・頒布する場合は、製造者が処罰されたり、販売・頒布先が罪を問われたりするおそれがあるので注意が必要です。

  1. (1)公的な記章や標章などのコピー

    警察の記章や弁護士バッジのように、官公職の記章・標章などを3Dプリンターでコピーする行為は避けなければなりません。身分を偽る目的の無い製造行為そのものは違反になりませんが、これを人に示してその身分を詐称する行為があると軽犯罪法違反になります

    いわゆるコスプレを楽しむ人なら、3Dプリンターで製作したリアルな記章などを使いたくなるかもしれませんが、特に会場の外、公衆の場に出てしまうと違反は避けられないでしょう。
    もちろん、身分を偽る目的での悪用は厳禁です。

    販売や頒布の際は、その相手がどのように使用するのかを確認したうえで、悪用しないように注意喚起をしておく必要があります。

  2. (2)わいせつ物にあたるもの

    性器を模した立体物や出力のために必要な3Dデータは、個人が芸術品として楽しんだり研究などで使用したりといった目的で製作・所持しただけでは罪には問われません。

    ただし、これを他人の目につくように陳列・頒布した場合は、刑法第175条1項のわいせつ物陳列罪やわいせつ物頒布罪に問われる可能性があります。また、同条2項には有償頒布の目的でわいせつ物を所持・データを保管した場合も同じように罰する旨の規定があるので、販売目的であれば製作しただけでも違法になる可能性がある点には注意が必要です。

    法定刑は2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または懲役・罰金の併科です。

    懲役と罰金の両方が科せられるかもしれないという点では厳しい法定刑が設けられているといえるでしょう

  3. (3)他人の知的財産権を侵害するもの

    他人の芸術作品やアニメキャラクターのフィギュアなどを3Dプリンターでコピーしたり、出力可能な3Dデータを作ったりしても、個人で楽しむ分であれば罪には問われません
    ただし、第三者に販売したり、出力可能な3Dデータを頒布したりといった行為があると、著作権・意匠権・商標権などの知的財産権を侵害してしまいます。

    たとえば著作権侵害にあたる場合は著作権法違反となり、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれが併科されます。知的財産権の侵害には厳しい罰則が設けられているうえに、別途損害賠償を求める民事訴訟を起こされてしまう危険もあるので注意が必要です。

  4. (4)食品衛生法違反にあたる可能性があるもの

    フリマアプリなどを中心に、3Dプリンターを利用した個人製作のクッキー型などが販売されています。

    しかし、これらの多くは食品衛生法の違反にあたる可能性があるので、安易にまねをしてはいけません。

    クッキー型のように食品に直接触れるものは、食品衛生法における器具に該当します。食品衛生法における器具は、構造や材質などに厳しい制限が設けられており、しかも法律に適合していることを証明する試験をクリアしなければなりません。

    個人でこのような試験を実施するには多大なコストが必要なので、現実的に適合品を個人で製作するのは難しいでしょう。

    違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

4、3Dプリンターに関連して犯罪を疑われたら弁護士に相談を

3Dプリンターはさまざまな分野での活用が期待されている一方で、法律がこのような機器の登場を想定していなかったため、適法・違法の判断が難しいという面もあります。思いがけず犯罪の疑いをかけられてしまう事態も考えられるので、トラブルに発展してしまったときは弁護士への相談を急ぎましょう。

  1. (1)悪意がなかったことを主張して穏便な解決を目指せる

    3Dプリンターに関連した事件のなかには「違法になるとは知らなかった」「違法にはならないと認識していた」といったケースも少なからず存在します。
    思いがけず犯罪の容疑をかけられてしまうと驚くのも当然ですが、法令が違法だと定めている以上は「知らなかった」と主張しても、罪を問われる事態を避けるのは難しいでしょう。

    悪意がなかったことを主張して穏便な解決を図るには、弁護士のサポートが欠かせません
    被害者が存在する場合は、弁護士が代理人となって示談交渉を進めることで、被害届や刑事告訴が取り下げられる可能性があります。

    また、事件化が避けられない状況でも、悪意をもって罪を犯したのではないことが認められれば、検察官が不起訴処分を下して刑事裁判が開かれなかったり、刑事裁判で執行猶予や罰金といった有利な処分で済まされたりする可能性も高まるでしょう。

  2. (2)技術的な争いがあるときのサポートを依頼できる

    たとえば3Dプリンターで拳銃のレプリカを製造して武器等製造法違反や銃刀法違反の容疑をかけられてしまった場合、特に問題となるのはその殺傷能力です。

    おもちゃやコスプレグッズなどのつもりで製造したのに「殺傷能力がある」と認定されてしまった場合は、実験や鑑定などによって殺傷能力を否定しなくてはなりません。

    3Dプリンターは近年になって登場した新しい技術であり、実験や鑑定などの結果を法令に正しく照らして対抗するには極めて高い専門性が必要です。個人の力だけで対抗するのは難しいので、弁護士に相談してサポートを依頼しましょう。

5、まとめ

3Dプリンターを使えば、3Dモデルさえあればほぼあらゆるものの製造が可能です。個人でも容易に購入できるほどの安価なモデルも登場しており、3Dモデルを配布しているサイトも多数ですが、製造や所持が禁止されているものを3Dプリントしてしまうと違法になることがあるので注意してください。

また、製造や所持は禁止されていなくても、他人に譲渡したり、有償で販売・頒布したりといった行為があると違法になるケースもあります。容疑をかけられてしまうと逮捕や厳しい刑罰を受けるおそれがあるので、危険を感じたらただちに弁護士に相談しましょう

3Dプリンターに関して犯罪の容疑をかけられている、まだ警察からの呼び出しはないものの容疑をかけられるのではないかと不安などのお悩みがあるなら、ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスにご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、穏便な解決を目指して全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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