取引先の女性の胸を触ってしまった!強制わいせつの刑期や逮捕の流れを北九州オフィスの弁護士が解説
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北九州市内の駐車場で取引先の女性と車中で二人きりになってしまった際に、つい魔が差して胸を触ってしまったなどという行為は、強制わいせつ罪に問われる可能性があります。女性が不快感や被害者意識を抱いて警察に被害届に提出すると捜査が開始され、強制わいせつ罪で逮捕されるかもしれません。
強制わいせつ罪に問われる可能性がある行為をしてしまった方にとって、いつ逮捕されるかわからないという不安がつきまといます。
本コラムでは、強制わいせつ罪の概要や逮捕された場合の刑期、逮捕後の流れなどについて北九州オフィスの弁護士が詳しく解説していきます。
1、強制わいせつ罪とは?
強制わいせつ罪とはどのような行為が該当するのでしょうか。わいせつ行為と強制わいせつの定義、量刑について見ていきます。
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(1)2つのわいせつ行為
わいせつ行為は刑法上で2つの意味を持ち、「性的感情に関する罪」と「性的自由に関する罪」に分類されます。性的感情に関する罪については、公然わいせつ罪やわいせつ物頒布(はんぷ)等の罪などが該当します。性的自由に関する罪には、強制わいせつ罪や強制性交などが挙げられます。
公然わいせつ罪は実質的に特定の被害者がおらず、性犯罪の中では比較的軽微な犯罪行為と言えます。一方、強制わいせつ罪などは、性犯罪の要素が強まります。相手の同意なしにわいせつ行為に及ぶため、暴力的性犯罪に分類されます。 -
(2)強制わいせつ罪の定義
強制わいせつ行為の定義は、相手が嫌がり拒否しているのを無視して、わいせつな行為に及ぶことです。
わいせつな行為とは具体的に以下のような行為を指します。
- 相手に抱きつく、キスをする行為
- 相手の女性の胸を揉む行為
- 相手の陰部を触ったり、手や指で触れたりする行為
- 陰部を相手に押し当てる行為
- 相手の臀部を触る行為
状況によっては痴漢行為が強制わいせつ罪に該当するケースもあります。実際に電車の車内で女性に集団で痴漢行為を行ったとして、男4人が強制わいせつ容疑で逮捕された事例もあります。また、強制わいせつ罪では相手が不快に感じていたり、嫌がっているのにもかかわらずわいせつな行為をすると罪に問われますが、13歳未満の者が被害者である場合は同意があったとしても強制わいせつ罪の対象となります。
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(3)強制わいせつ罪の量刑
強制わいせつ罪の量刑は刑法第176条に「13歳以上の者に対し、暴行や脅迫によりわいせつ行為をした者には、6ヶ月以上10年以下の懲役を科す。13歳未満の者にわいせつな行為をした者も、同様とする」と規定されています。
つまり、強制わいせつ罪で逮捕され、有罪判決が下されると6ヶ月以上10年以下の懲役刑が決定します。罰金刑や拘留、科料など比較的軽い刑罰もある公然わいせつ罪よりも、懲役刑しかない強制わいせつ罪の方が、罪が重いことがわかります。
2、逮捕後の流れ
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(1)現行犯逮捕と通常逮捕
逮捕には現行犯逮捕と通常逮捕があります。通行人や目撃者の通報によって駆けつけた警察官によって逮捕される現行犯逮捕に対して、通常逮捕には一定の手続きが必要です。まず、警察が被疑者に対して明確な逮捕理由や逮捕の必要性があると判断し、裁判所に逮捕状を請求します。そして、逮捕状が発行されると、警察が被疑者を逮捕します。
たとえば駐車場の車中で取引先の女性の胸を触った際に被害者の女性が通報し、駆けつけた警察官に逮捕された場合は現行犯逮捕と言います。
一方、その場で通報されず後になって被害者の女性が被害届を警察に提出し、捜査が行われた後で逮捕された場合は通常逮捕に該当します。 -
(2)通常逮捕に至るまで
被害者が受けた強制わいせつ行為について被害届を提出すると、被疑者が通常逮捕される可能性が高まります。また、被害届を出す段階で被害者は被疑者を特定する必要はありません。
たとえば、駐車場の車中で取引先の女性の胸を触る行為について被害届が出された場合、警察は被害者や関係者の訴えに基づいて捜査を進めます。最近は、監視カメラや防犯カメラの映像が証拠として採用されるケースが増えています。
しかし、被害届が出されなければ逮捕されないというわけではありません。平成29年の刑法改正で被害届が提出されていなくても、強制わいせつ罪の捜査ができるようになりました。そのため、被害届が出ていない場合でも後日逮捕される可能性があります。 -
(3)警察による逮捕後の流れ
強制わいせつ罪は、罰金刑などのない重い性犯罪です。警察に逮捕されると、長期にわたって身柄を拘束されたり、起訴されたりする可能性があります。
まず、強制わいせつ容疑で逮捕されると、警察での捜査・取り調べが始まります。警察は48時間以内に被疑者を検察に送検するかどうかを決定します。さらに、検察では24時間以内に勾留が必要かどうかを判断し、勾留が必要であれば裁判所に勾留請求をします。この勾留が開始するまでの72時間は家族であっても面会することはできません。面会ができるのは弁護士だけです。
そして、勾留の許可が下りると強制わいせつ罪の立件に向けて検察での捜査・取り調べが始まります。勾留期間は原則10日間で、最大10日間の延長勾留が許されています。そのため、最長で23日間身柄を拘束されます。なお、検察で勾留されている間は、接見禁止の処分が下されていない限りは、弁護士だけでなく家族の面会も許されます。
3、早期に弁護士に相談を
強制わいせつ罪で逮捕された被疑者が起訴される確率は約35%とされています。しかし、一度起訴されてしまうと裁判で99%有罪判決が下されてしまうため、起訴されないように働きかけることが大切です。
強制わいせつ容疑で逮捕された場合はすぐに弁護士に相談することをおすすめします。強制わいせつ罪は被害者がいる犯罪ですので、迅速に示談を成立させておくことで不起訴を目指すことができます。また、起訴されたとしても執行猶予など、量刑を軽減できる可能性もあります。
特に取引先の社員などに対して強制わいせつ行為を行ってしまった場合、被疑者と関わりたくないという理由で示談交渉すらさせてもらえないケースがあります。しかし、警察を通じて謝罪を伝えるなど不起訴や執行猶予に向けた粘り強い弁護活動をしてくれます。
また、酔った勢いで強制わいせつ罪に問われるような行為をしてしまい、通常逮捕される心配がある場合も弁護士に相談した方がよいでしょう。相談することで通常逮捕された場合でも、迅速な弁護活動が受けられます。また、逮捕される前に示談が成立することで、早期釈放を目指せます。
4、まとめ
強制わいせつ罪は被害者が存在するため、示談交渉が重要です。逮捕されてしまった場合はすぐに弁護士に相談して、弁護活動を始めてもらいましょう。また、酔った勢いで強制わいせつ罪に該当するような行為をしてしまった場合も、通常逮捕の可能性があります。逮捕される前に弁護士に相談して、示談交渉や適切なサポートを受けるようにしましょう。
強制わいせつ罪で起訴されると有罪判決が下る可能性が非常に高く、被疑者にとって大変な不利益が生じます。強制わいせつ罪で通常逮捕されてしまうという不安を抱えている方は、ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスまでご連絡ください。北九州オフィスの弁護士が示談交渉や不起訴に向けて力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています