交通事故で通院する被害者が知っておくべき慰謝料のこと
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北九州市の発表によると、平成30年の交通事故発生件数は市内全域で6649件、前年比352件と減少しています。残念ながら死者数は前年より増加してしまいましたが、傷者数が439人も減少したことは喜ばしいことでしょう。
交通事故でケガをした場合、加害者の保険会社から、賠償金としてケガの治療費、入通院に関する慰謝料、後遺障害の慰謝料や休業損害などのさまざまなお金が支払われます。それでも、事故のせいでケガの痛みに耐えながら通院することになったのに、満足に慰謝料をもらえないと考えている方は少なくありません。そこで、ベリーベスト法律事務所北九州オフィスの弁護士が、慰謝料について詳しく解説します。
1、交通事故の賠償金とは?
交通事故でケガをすると、加害者(ほとんどの場合は、加害者が加入する任意保険会社)から被害の内容に応じた賠償金を受けることができます。本コラムでは、交通事故の被害者になったときに受け取れるお金や、慰謝料の種類について解説します。
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(1)事故によって受け取れるお金とは
そもそも「慰謝料」とは、加害者から賠償されるお金の一種で、事故で痛い思いをしたり病院に通院しなければならなくなったりしたことで受けた精神的苦痛をお金に換算したものです。
もちろん、お金を支払ってもらったからといって心の傷がなかったことになるわけではありません。しかし、それ以外に精神的苦痛を賠償する方法がないので、慰謝料が支払われることになるのです。
交通事故の場合は、病院を受診して「事故によってケガをした」という診断を受けると、通院日数や期間に応じて慰謝料が支払われることになるケースが一般的です。
交通事故の被害にあったときに受け取れるお金は、慰謝料のほか、以下にご紹介する「積極損害」と「消極損害」があります。
①積極損害
交通事故によって被害者が支払うことになった損害(お金)を指します。治療費や通院のための交通費、薬代、付添人にかかる費用、弁護士費用などが該当します。
②消極損害
交通事故にあわなければ得られていたはずの利益を指します。
具体的には、以下のものがあります。休業損害
事故発生から症状固定までの間に得られたはずの給与や営業利益など
後遺障害逸失利益
交通事故による後遺障害がなければ得られたはずの収入
死亡逸失利益
事故により死亡しなければ得られたはずの収入 -
(2)慰謝料の種類
交通事故で受け取れる慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つがあります。
①入通院慰謝料
事故によって入通院した日数や期間に応じて支払われる慰謝料のことです。
原則として、事故日から症状固定までの入通院期間を基準に算定されます。
事故でケガをした場合、どれほどの精神的苦痛を受けたかは人それぞれで、状況によって異なるものでしょう。
しかし、人によって異なる精神的苦痛を個別に判断して慰謝料を計算していると、公平性に欠けてしまいます。そのため、通院や入院の日数・期間などの客観的事実関係から計算されることになっています。
②後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、事故のケガが治療のかいなく完治せず、何かしらの症状が残っていると判断された際に支払われる慰謝料です。
たとえば、事故のケガが原因で目が見えなくなってしまった、手が動かなくなってしまった、と認定されると、症状の重さに応じた「等級」が認定されることとなります。後遺障害の等級は1級から14級まであり、等級に応じた金額の慰謝料が支払われます。
また、前述の後遺障害逸失利益などを受け取れる可能性もあるでしょう。
2、入院や通院をしたらずっと慰謝料をもらえるのか?
交通事故によるケガのために通院した場合は、原則として入通院慰謝料を受け取ることができます。前述のとおり、入通院慰謝料は入通院の日数や期間に応じて支払われるため、通院期間が長くなれば基本的には入通院慰謝料もそのぶん増加していきます。
ただし次のようなケースでは、慰謝料が支払われないか、低額になる可能性があるのでご注意ください。
①ケガをしたのにほとんど通院しなかった
繰り返しになりますが、ケガによって精神的苦痛をどれだけ受けたのかについては入通院の日数や期間をもとに計算されます。
したがって、同じケガであっても、3ヶ月間で10日しか通院しなかった場合と60日通院した場合では、60日間通院した方が受け取る慰謝料は高額になります。
②通院の間隔が空き過ぎてしまった
ケガの通院は、間隔が空き過ぎてしまうと、「その通院は本当に事故のケガによるものなのか」と疑われてしまう可能性があります。
場合によっては、治療費や慰謝料の支払いを拒否されるケースもあるでしょう。
事故によって負傷したときは、医師の指示に従って定期的に通院をするようにしましょう。
③治療費支払いの打切りを宣告された
交通事故でケガをした場合、基本的には「治るまで治療すること」を目指すことになります。ただし、治療をしてもそれ以上症状が改善される見込みがない場合は「症状固定」と呼ばれ、加害者側保険会社による治療費の支払いを打ち切られるケースは少なくありません。
打切りを宣告されたとしても、必ずそれに従わなければならないものではありませんが、加害者側保険会社は被害者の同意なく打切りとすることもあります。
打ち切られてしまうと治療費が自己負担になってしまうので、思うように通院できなくなってしまいます。
完治していないにもかかわらず打切りを宣告された場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
3、入通院慰謝料には3つの基準がある
入通院慰謝料の計算基準は3種類あります。
計算基準によって大きく額が異なるので、自分がどの計算基準で慰謝料を算定されているのかを知っておきましょう。
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(1)自賠責保険基準(自賠責基準)
自賠責保険基準とは、国の強制保険である自賠責保険に基づいて慰謝料を計算する場合の計算基準です。
最低限の補償を行うものであり、入通院慰謝料の計算基準の中ではもっとも低額な基準となります。
自賠責保険基準では通院日数や治療期間によって入通院慰謝料が決定され、通院日数の2倍、もしくは通院期間のどちらか少ない方に4200円をかけたものが入通院慰謝料の金額となります。 -
(2)任意保険基準
任意保険基準とは、任意保険会社が決めている基準です。一般には公表されていない基準ですが、自賠責保険基準よりは高めに設定されているものの、さほど変わらない水準であることが多いでしょう。
保険会社ごとに若干違いはあるものの、どの保険会社でも受け取れる慰謝料額に大きな差はないと言われています。 -
(3)裁判所基準(弁護士基準)
裁判所基準とは、過去の裁判例に基づいて設定されている基準を指します。
弁護士が介入したケースや裁判になった場合などに、主に(財)日弁連交通事故相談センター東京支部の発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)に記載されている入通院慰謝料の算定表に基づいて算定されます(算定基準とされる本は、地域等によって異なることがあります)。
裁判所基準で算定した入通院慰謝料は、自賠責保険基準の2倍以上になるケースもあります。
もっとも、通常、ご自身で交渉をしても加害者側保険会社は裁判所基準で入通院慰謝料の算定をしてくれません。裁判所基準で算定した入通院慰謝料を獲得したいときは、弁護士に依頼することを検討しましょう。
4、入通院慰謝料をもらうために必要な手続きと受け取れる時期
入通院慰謝料はいつもらえるのだろうと気になる方は多いかもしれません。
ただし、前述のとおり入通院慰謝料は入通院の期間や日数に応じて算定されるため、治療が完了するか症状固定にならなければ算定することができません。
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(1)入通院慰謝料を受け取るために必要な手続きは「示談を成立させること」
入通院慰謝料を受け取るためには、加害者側保険会社との間で、入通院慰謝料を含めた賠償金の金額について合意をし、示談を成立させる必要があります。
示談を成立させるためには、賠償金の額を確定させる必要があることから、診療報酬明細書や診断書、休業損害の証明書などさまざまな書類が必要です。
原則として、ほとんどの書類を保険会社が集めますが、休業損害証明書などは被害者が用意しなければならないことが一般的です。
できるだけ早期に解決したいのであれば、求められた各種書類の収集と提出は、迅速かつ確実に行うことが求められます。 -
(2)入通院慰謝料を受け取れるのは原則として示談成立後
入通院の慰謝料をもらえる時期は、原則として「示談が成立してから」になります。
賠償金(示談金)は、完治または症状固定となり、後遺障害の認定手続きなどすべての手続きが完了して示談書に署名捺印した後に、保険会社から被害者の口座に直接支払われます。
治療期間が長く、後遺障害の認定などの手続きが必要な場合は、事故後半年から1年程度経過しても入通院慰謝料が支払われない可能性があるでしょう。
5、まとめ
交通事故の入通院慰謝料は、入通院の日数や期間によって決定します。
ただし、計算基準はもっとも受け取れる金額が低い自賠責保険基準から、もっとも高額になる可能性の高い裁判所基準まで3種類あります。
より適切な入通院慰謝料を受け取りたい方や、加害者側保険会社から提示された入通院慰謝料の金額に納得できない方は弁護士に相談してみることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスの弁護士に依頼すれば、裁判所基準で入通院慰謝料の計算をして交渉することが可能です。
交通事故の示談交渉に関する知見が豊富な弁護士が、あなたの状況をしっかり確認した上で受け取れる入通院慰謝料の目安をお伝えいたします。
ひとりで交渉していると、治療に専念できないまま不十分な慰謝料を受け取る事態に陥りかねません。まずはお気軽にご相談ください。
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