夫や未成年の息子が公然わいせつ罪で逮捕されたら?逮捕後に家族ができること
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警察からの連絡で夫や息子が逮捕されたことを知った場合、多くの方は動揺してしまうことでしょう。特にその容疑が「公然わいせつ」のような性犯罪であれば、事件のことを知り合いや親族に知られたくないと思ってしまう方も多いと思います。
しかし、体面的なことを考えるよりも、まずは逮捕された本人のために何をすべきか考えることが大切です。刑事事件は逮捕後いかに早く適切な対応をとるかが、その後の明暗を大きく分けていくからです。
本コラムでは、家族が公然わいせつ容疑で逮捕された後の裁判までの流れや、逮捕後のそれぞれのプロセスで家族としてできることを解説していきます。
1、公然わいせつ罪とは?
まずは、公然わいせつとはどのような犯罪で、どのような刑罰を受けることになるのか見ていきます。
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(1)どのような行為が公然わいせつに当たるか
公然わいせつ罪の成立には、「公然と」「わいせつな行為」をしたことが必要です。つまり不特定多数の人々が認識できる形で、一般人の性欲を刺激したり羞恥心を害したりする行為を行った場合、公然わいせつ罪に当たると言えます。
具体的には、駅や広場など人通りの多い場所で、性器を露出する、自慰行為に耽るといった行為が該当します。 -
(2)公然わいせつ罪を犯すとどうなるのか
公然わいせつ罪の刑罰は、以下の通りです。
- 6月以下の懲役
- 30万円以下の罰金
- 拘留
- 科料
懲役と拘留は身体的自由を制限される刑罰です。罰金と科料はお金を取られる刑罰です。
2、逮捕されるとどうなる?
逮捕されても、いきなり裁判となるわけではありません。いくつかの段階を経て起訴か不起訴が判断され、起訴され裁判となった場合に、有罪か無罪の判決が下されます。
事件を犯したのが成年の場合と未成年の場合では、逮捕後の流れが異なる点があるため、それぞれの違いに触れつつ、説明していきます。
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(1)成年の場合
まず警察に逮捕されると、最長48時間の取り調べが行われます。
取り調べの結果、犯罪や犯情などが軽微と判断されれば、「微罪処分」として検察に送致されることなく釈放となります。
釈放されない場合、事件は検察へ引き継がれます。これを送検と言います。
送検されると検察官による取り調べが行われ、起訴か不起訴の判断がなされます。この取り調べは最長24時間です。
この24時間以内に検察によって身柄拘束の必要がないと判断されれば釈放されますが、引き続き身柄を拘束した状態での取り調べが必要だと判断される場合、検察は裁判所に勾留の許可を請求します。この勾留請求が認められた場合は、最長20日間身柄が拘束されることとなります。
勾留期間中、刑事裁判を開く必要が無いと判断されれば不起訴となり釈放されますが、起訴されれば1ヶ月ほどの起訴後勾留を経て刑事裁判へと進みます。そして、裁判において有罪か無罪かの判決がなされます。 -
(2)未成年(14歳以上)の場合
逮捕されたのが未成年だった場合は、警察による最長48時間の取り調べ、ならびに検察による最長24時間の取り調べについては成年と同様の流れとなります。
異なるのは勾留となった場合、少年鑑別所へ移されることがある点と検察の取り調べが終われば不起訴とはならず、全て家庭裁判所へと送られる点です。その結果、少年審判となるか、審判不開始となるか、あるいは少年鑑別所での観護措置のいずれかとなります。
審判不開始であれば解放されます。観護措置となれば、最長で8週間収容されます。
少年審判となれば、無罪や不起訴に当たる「不処分」となるか、少年院などの更生施設への送致、もしくは保護観察処分となります。
3、家族にできることは?
夫や息子が逮捕されたとき、ご家族としてできるサポートにはどのようなものがあるのでしょうか。
警察での取り調べ中、検察での取り調べ中、そして起訴後の3段階に分けて見ていきましょう。
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(1)警察での取り調べ中
逮捕後、警察での48時間以内の取り調べは、たとえ家族といえども面会はできません。時に警察による厳しい取り調べに対して、被疑者が一人で対応していくことは大変な負担となります。また、外部の様子が全く分からない状況下では、不安も膨らむ一方です。
逮捕後、家族がすぐに行うべきは、弁護士への連絡と相談、そして弁護士の選任です。
弁護士は取り調べに対する振る舞い方や注意点といったアドバイスをはじめ、ご家族との仲立ちを行うことで、被疑者の精神的な支えとなります。 -
(2)検察での取り調べ中
検察での取り調べの段階で意識しておきたいのが、勾留をいかにして避けるかという点です。
警察と検察での身柄拘束の期間は最長で72時間(留置期間)ですが、勾留となれば一気に拘束期間が20日間まで伸びる可能性が出てきます。
特に会社勤めをされている方など、容疑の真偽はどうあれ、10日も20日も身柄が拘束され続けると必然的に欠勤となり、最悪の場合は解雇の恐れも生じてくるでしょう。
勾留を避ける方法にはいくつかありますが、いずれにしても検察に対する働きかけが大切で、それにあたっては法的な専門知識が必要となります。
また、勾留されたとしても、不起訴となるよう検察に働きかけていくことが大切です。
日本の場合、起訴されると99%の確率で有罪となります。有罪となれば前科がつきますので、起訴されないよう動いていくことが本人にとっても家族にとっても大切です。
不起訴となるためには事件を起こした本人が反省の意を示している、被害者との示談が成立していることが検察の判断に影響します。
これらの交渉を行うのが弁護士ですので、家族としては、早期に弁護士に依頼することが大切です。 -
(3)起訴された後
起訴された場合、本人の呼び方が被疑者から被告人となります。この段階になると、弁護士は被告人の保釈請求や、被告人に有利な判決を求めて活動していきます。
寛大な処分を得るためには、被告人が十分に反省していることや、被告人が刑務所に入らなくても十分に更生できるように監督する家族や友人がいることを弁護士は主張していきます。また、被害者との示談が成立していることも寛大な処分のための大きな要素となるため、弁護士は被害者との示談交渉も行っていきます。
家族としては、本人が更生できる環境を整えたり、示談金の用意をしたり、保釈が認められた場合は身元引受人としての必要手続きを行ったりすることができます。
以上をまとめると、身内が公然わいせつで逮捕されたときにご家族としてできるのは、なるべく早く弁護士に相談し、弁護士を選任することなのです。
4、まとめ
配偶者や子供などの身近な人が逮捕されれば、誰もが動揺してしまいます。そんなとき、今後の動きのアドバイスや身柄拘束を解くための手続き、示談、刑事弁護といった心身のフォローをお引き受けするのが弁護士です。
刑事事件への初期対応は、とにかく早く行うことが大切です。
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- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています