公然わいせつ行為で、後日逮捕される可能性はあるの!?北九州オフィスの弁護士が解説

2018年08月16日
  • 性・風俗事件
  • 公然わいせつ
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公然わいせつ行為で、後日逮捕される可能性はあるの!?北九州オフィスの弁護士が解説

深酒をして公園で全裸になって走り回った。会社の飲み会で調子に乗って全裸芸を行い他の一般客から注意された……。
このようなケースは公然わいせつ罪に当たるのでしょうか。また、その場では警察沙汰にはならなかったものの、ある日突然、警察が来て後日逮捕される可能性などあるのでしょうか。
本コラムでは、公然わいせつ罪とはどんな犯罪でどんな刑罰があるのか、公然わいせつ罪では後日逮捕される可能性があるのか、北九州オフィスの弁護士が解説していきます。

1、公然わいせつ罪とは、どんな犯罪?

  1. (1)公然わいせつ罪の定義や根拠とは

    公然わいせつ罪とは、道路や公園など大勢の人の目に触れる場所で、わいせつな行為をしたときに成立する犯罪です。刑法第174条に規定されています。

    「公然」とは不特定多数の人から見える状況をいいますが、その可能性があれば実際に目撃者がいなくても公然わいせつ罪が成立します。インターネットでリアルタイム配信している動画や、自宅であってもベランダから通りに向かって裸を見せつけるなど大勢の人の目にさらされる状況であれば、公然とみなされます。

    「わいせつ行為」とは、一般の方が性的嫌悪感や羞恥心にかられたり、性秩序を乱したりするような行為が該当するとされています。

  2. (2)公然わいせつ罪の成立要件

    公然わいせつ罪が成立する要件として、大きく次の2点が挙げられます。
    ひとつは「実行行為」があったかどうか、もうひとつは「故意」が認められるか否かです。

    公然わいせつ罪における実行行為とは、公の場で人に性的嫌悪感や、羞恥心を感じさせたり、性秩序を乱したりするような行為を実際におこなうことをいいます。一般良識や社会通念上、「性的」と判断される行為が該当します。

    公然わいせつ罪における故意とは、行為自体を本人が認識し認容していることを指します。本人が、その行為が公におよぼす影響があるのか、それ自体わいせつ行為に当たるのかを認識していることまでは求められていません。

  3. (3)公然わいせつ罪の適用例

    どのような状況でどのような行為をすると、公然わいせつ罪が適用されるのでしょうか。
    「公の場などでの露出」「公の場などでの性行為」「風俗店などの性サービス」「インターネット動画などでわいせつ行為をリアルタイム配信する」などが、一般的に該当すると言えるでしょう。

    「公の場などでの露出」は、たとえば公園や道路などで全裸や下半身を露出させることです。ほとんどのケースで、目撃者が通報することによって、警察に現行犯逮捕されます。
    「公の場などでの性行為」では、車の中やインターネットカフェなどで性行為をおこなうことが該当します。これらの場所でカップル同士が性行為した場合、逮捕される可能性があります。
    「風俗店などの性サービス」については、例えば過度なストリップショーが挙げられます。この場合、興行側とショーのダンサーに公然わいせつ罪が適用されるのが一般的です。
    「インターネット動画などでわいせつ行為をリアルタイム配信する行為」は、誰でも鑑賞できるような環境であれば公然わいせつ罪に問われる可能性があります。

  4. (4)公然わいせつ罪の刑罰

    公然わいせつ罪は刑法第174条で「6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料に処する」とされています。

2、後日逮捕とは?

  1. (1)後日逮捕と現行犯逮捕の違い

    ひと口に逮捕といっても大きく分けて、2種類あります。逮捕状が必要な逮捕と、逮捕状を必要としない逮捕です。
    逮捕状を必要とする逮捕は通常逮捕と呼ばれます。事件のその場ではなく、数日から数ヶ月経った後に逮捕されることから後日逮捕とも呼ばれています。
    逮捕状を必要としない逮捕は、現行犯逮捕と呼ばれます。

    後日逮捕とは、被疑者が罪を犯したと疑われる場合、裁判所が発布した逮捕状に基づき、警察官が被疑者を逮捕することを指します。

    現行犯逮捕は、犯罪行為がおこなわれたそのとき、その場所、または時間的にも場所的にも離れていない場合で、被疑者による犯行だと疑う余地がないときに可能となる逮捕です。現行犯逮捕では逮捕状は不要です。その場に居合わせた民間人でも逮捕できます。なお、民間人による現行犯逮捕を「私人の現行犯逮捕」といいます。

  2. (2)公然わいせつ罪と後日逮捕の関係

    公然わいせつ罪は現行犯逮捕によって被疑者の身柄が拘束されるケースがほとんどですが、後日逮捕される可能性は十分にあると言えます。
    たとえば、たびたび公園で全裸になるとか、たびたび車中での性行為をおこなっているようであれば、それはつまり、公然わいせつ行為が繰り返されていることになります。
    このようなケースでは日頃から近隣の住民が警察に相談していることもあり、警察が集中的に捜査をおこなっているような場合であれば、捜査によって後日逮捕されることも考えられるでしょう。

  3. (3)後日逮捕に至る最近の傾向

    公然わいせつ行為の目撃者から通報があると、警察は被疑者を特定するための捜査に入ります。捜査中、目撃者などから話を聞くにあたって、警察にはとくに令状などを用意しておく必要はありません。

    最近の傾向では、防犯カメラや監視カメラの映像などが捜査の決め手となることが多いようです。ドライブレコーダーで撮影された動画が、被疑者の特定に用いられた事件も存在します。

    捜査が始まり逮捕状が発布されるまでには、一定期間を要します。問題が起こって数週間以内に逮捕されることがあれば、数年も経った後に逮捕されることもあります。

  4. (4)後日逮捕されたときの対処法

    公然わいせつ罪で後日逮捕された場合、どのように対処したらいいのでしょうか。
    公然わいせつ罪は特定の被害者がいない場合が多いとはいえ、逮捕や勾留、起訴などの手続きは、他の刑事事件と同じようにおこなわれます。

    まず、逮捕から48時間以内は警察での取り調べがおこなわれます。警察はこの間に、検察へ事件を引き継ぐ(送検)か、釈放するかを決定します。そして、送検から24時間以内に、検察は裁判所に勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するか、釈放するかを判断します。勾留が決まれば最大20日間、身柄が拘束され取り調べが続きます。

    公然わいせつの疑いで逮捕されてしまったら「飲酒の席のことなので記憶にない」などと開き直るのではなく、まずは反省の態度を示すことが大切でしょう。
    また、公然わいせつ事件では、行為だけをとらえて逮捕に至るケースも多いため、わいせつ行為である認識がないまま行為におよんだ場合などはしっかりとその事情を説明し、情状を酌んでもらうことが大切です。
    どのような事情が合理的で、どのように主張すれば有利に働くのかなどを知るには、公然わいせつ罪の知識が深い弁護士に相談するのがベストでしょう。

3、まとめ

公然わいせつ罪で後日逮捕された場合、罪を認めて反省の態度を示すことが大切です。しっかりと反省を示して捜査に協力すれば、いたずらに長期間の身柄拘束を受ける可能性も低いと言えるでしょう。早期釈放や量刑も比較的軽い罰金などで済むことが考えられます。
とはいえ、勾留が長期にわたると、逮捕前の生活を取り戻すのは容易ではありません。

公然わいせつ罪の疑いで逮捕された場合、または後日逮捕されるおそれがある場合は、早めに法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

逮捕前であれば自首に関してや逮捕後の手続きなど事前にアドバイスが受けられます。逮捕後であれば早期釈放や起訴回避などに向けて強力にサポートしてくれることでしょう。

公然わいせつ罪で逮捕されるかもしれないと不安を抱えている方は、ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスまでご相談ください。北九州オフィスの弁護士がお話をうかがい、適切なサポートをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています