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養育費の支払期日を守らない元配偶者への対処方法

2023年03月23日
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養育費の支払期日を守らない元配偶者への対処方法

福岡県における令和2年の婚姻件数は2万2745件、離婚件数は8955件でした。

元配偶者が養育費の支払期日を守らない場合、強制執行によって養育費の回収を図るという方法があります。養育費請求権には消滅時効があるため、早めに強制執行に向けた手続きを取ることが大切です。

今回は、元配偶者が養育費を期日どおりに支払わない場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスの弁護士が解説します。

1、養育費が期日どおりに支払われない場合に取る手続き

元配偶者が養育費を期日どおり支払わない場合、裁判所に履行勧告・履行命令・強制執行の申立てを行うことができます。ただし、それぞれ申し立てをするためには条件があるため注意が必要です。

どのようなケースであれば申し立てができるのか、またそれぞれの申し立てはどのような効果があるのか、詳しく見ていきましょう。

  1. (1)履行勧告・履行命令の申立て

    養育費の支払いを家庭裁判所の調停または審判で定めたケースで、養育費の未払いが発生した場合、権利者(支払いを受ける側)は調停または審判をした家庭裁判所に「履行勧告」を申し立てることが可能です(家事事件手続法第289条第1項、第7項)。

    履行勧告の申立てを受けた家庭裁判所は、養育費の支払い状況を調査したうえで、義務者(支払う側)に対して養育費を支払うよう勧告を行います。

    なお、この際、家庭裁判所による調査の一環として、銀行や勤務先などに対して財産や収入に関する報告要求が行われるケースがあります。
    調査記録は、家庭裁判所の許可を受けることにより、閲覧・複製をすることができます(同条第5項、第6項)。離婚後、元配偶者の財産・収入の状況が不透明になってしまったとしても、この調査記録を確認すれば、元配偶者の経済状況を把握できるでしょう。

    さらに権利者は、調停または審判で定められた養育費の未払いについて、家庭裁判所に履行命令を申し立てることも可能です(同法第290条第1項)。
    履行命令の申立てを受けた家庭裁判所は、義務者の陳述を聴いたうえで、相当の期限を定めて養育費を支払うよう命令を行います(同条第1項、第2項)。義務者が正当な理由なく履行命令に従わない場合、「10万円以下の過料」が課されます(同条第5項)。

    しかし、履行勧告や履行命令には、義務者の財産から強制的に養育費を回収する効果はありません。養育費を強制的に回収するには、強制執行を申し立てることが必要です。

  2. (2)強制執行の申立て

    強制執行の申立てを受けた裁判所は、対象となる義務者の財産を差し押さえて、譲渡などの処分を禁止します。その後、強制競売・配当・転付命令などの手続きを通じて、権利者は差押財産から養育費を回収することが可能です。

    義務者の給料や預貯金を強制執行で差し押さえたい場合、強制執行の申立ては、義務者の住所を管轄している地方裁判所へ行います。履行勧告・履行命令は家庭裁判所でしたが、強制執行は地方裁判所へ申し立てる必要があるため注意が必要です。

    なお、強制執行を申し立てる際には、「債務名義」を有している必要があります。債務名義がない場合、強制執行を行うことができません。
    どのようなものが債務名義なのか、また、現時点で債務名義がない場合の対応などについては、『3、債務名義とは? 債務名義を有していないケースで、強制執行を申し立てるには?』で解説します。

2、養育費の強制執行は毎月申し立てる必要がある?

養育費の支払期日は、毎月訪れるのが通常です。そのため、養育費の支払いが滞っている状況では、毎月新たに未払いの養育費が発生することになります。
毎月新たに発生する未払いの養育費を回収するために、毎回強制執行を申し立てる必要があるとすれば、権利者は非常に手間がかかってしまいます。

このような事態を防ぎ、スムーズに養育費を回収できるようにするため、民事執行法では将来債権を対象とした強制執行を認めています。

具体的には、養育費の未払いを理由とする強制執行を申し立てた場合、将来発生する養育費の支払いを確保する目的で、義務者の給料債権などを差し押さえることができます(民事執行法第151条の2第1項第3号、第2項)。
この制度を活用することにより、権利者は何度も強制執行を申し立てる必要がなく、毎月の養育費を義務者の給料などから回収可能となります

なお、給料債権を差し押さえることのできる範囲は、原則として以下の金額に限定されています(同法第152条第1項第2号、民事執行法施行令第2条)。

<給料債権の差押金額の上限(原則)>
以下のうち、いずれか高い金額
  • ① 手取り額の4分の1
  • ② 手取り額のうち33万円を超える部分(月給制の場合)


ただし、養育費の請求を目的とした差押えの場合は、例外的に、差し押さえられる給料債権の範囲が以下のとおり拡大されています。

<給料債権の差押金額の上限(養育費等)>
以下のうち、いずれか高い金額
  • ① 手取り額の2分の1
  • ② 手取り額のうち33万円を超える部分


このように、養育費を回収するために強制執行を申し立てる場合は、各種の優遇制度を利用できる点を認識しておきましょう。

3、債務名義とは? 債務名義を有していないケースで、強制執行を申し立てるには?

前述のとおり、裁判所に強制執行を申し立てるためには、「債務名義」という公文書を提出することが必要です。
これに対して、離婚協議書(離婚契約書)を当事者が自分で作成した場合など、債務名義が手元にない場合には、強制執行を申し立てる前に債務名義を取得しなければなりません。

具体的に見ていきましょう。

  1. (1)債務名義の種類

    債務名義として認められているのは、次にあげる公文書です(民事執行法第22条)。

    • ① 確定判決
    • ② 仮執行宣言付判決
    • ③ 抗告によらなければ不服申し立てができない裁判
      ※民事保全処分の命令(仮差押・仮処分)など
    • ④ 仮執行宣言付損害賠償命令
      ※殺人・傷害致死・強制性交等・逮捕監禁・未成年者略取などの罪に関する損害賠償命令
    • ⑤ 仮執行宣言付届出債権支払命令
      ※消費者被害に関する支払命令
    • ⑥ 仮執行宣言付支払督促
    • ⑦ 訴訟費用等の金額を定める裁判所書記官の処分
    • ⑧ 執行証書(強制執行認諾文言付公正証書)
    • ⑨ 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
    • ⑩ 確定した執行決定のある仲裁判断
    • ⑪ 確定判決と同一の効力を有するもの
      ※和解調書・調停調書・審判書など


    たとえば、養育費の支払いを公正証書で合意し、不払いが発生した際には直ちに強制執行に服する旨の義務者の陳述(強制執行認諾文言)が記載されていれば、公正証書を債務名義として用いることができます(民事執行法第22条第5号)。

    そのほか、調停・審判・訴訟で養育費の支払義務が確定した場合にも、調停調書・審判書・確定判決などを債務名義として提出することが可能です。

  2. (2)養育費請求の債務名義を取得する方法

    債務名義を有していない場合、強制執行を求めることができません。そのため、まずは債務名義を取得するための手続きを行う必要があります。

    ① 養育費請求調停・審判
    養育費請求調停は、養育費の支払内容や方法について、改めて話し合って決めるための手続きです。家庭裁判所で実施される調停期日において、調停委員の仲介の下、養育費に関する話し合いを行います。

    話し合いがまとまる、あるいは裁判官の提示する調停案に当事者双方が同意すれば、調停成立となり調停調書が作成されます。調停調書は、強制執行の債務名義として用いることが可能です。

    調停が不成立となった場合は、家庭裁判所が審判を行い、養育費の支払い内容や方法を決定します。審判書も、強制執行の債務名義として用いることができます。

    ② 養育費請求訴訟
    合意書などの、債務名義とならない資料によって確定済みの養育費の支払いを求める場合は、地方裁判所または簡易裁判所に養育費請求訴訟を提起します。

    裁判所が証拠などから判断して、養育費の支払い義務があると認めれば、義務者に対して養育費の支払いを命ずる判決を言い渡します。訴訟の確定判決または仮執行宣言付判決は、強制執行の債務名義として用いることが可能です。

    また、訴訟の中で和解が成立した場合、裁判所が養育費の支払いについての合意内容をまとめた和解調書を作成します。
    和解調書も、強制執行の債務名義となります。

    ③ 支払督促
    養育費の支払いを促すための簡易的な法的手続きとして、裁判所に支払督促を申し立てることもできます。権利者の申し立てを受けた裁判所は、特に審査を行うことなく、義務者に対して養育費の支払いを求める支払督促を発送します。

    義務者から異議申立てがないまま2週間が経過すると、権利者は裁判所に仮執行宣言付支払督促を申し立てることができるようになります。
    裁判所が発した仮執行宣言付支払督促は、強制執行の債務名義に当たります。

    ただし、義務者から異議申立てがなされた場合、訴訟手続きへ移行する点に注意しましょう。

4、未払いの養育費請求権の消滅時効について

もし未払いとなった状態の養育費を回収せずに放置していると、消滅時効の完成によって、養育費を回収できなくなってしまうことがあります。

【養育費請求権の消滅時効期間】
  • ① 訴訟の判決・裁判上の和解・調停・審判で養育費が確定した場合
    支払期日から10年(民法第169条第1項)
  • ② それ以外の場合(公正証書で定めた場合、当事者同士で合意した場合など)
    支払期日から5年(民法第166条第1項第1号)


消滅時効期間が経過する前に、内容証明郵便の送付や法的手続きの申立てなどによって、消滅時効の完成を阻止しましょう。
養育費請求権の消滅時効について不安な方は、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

養育費が期日どおりに支払われない場合、権利者は家庭裁判所に履行勧告や履行命令を申し立てることができるほか、最終的には強制執行により回収を図ります。

ただし、強制執行の申立てには、確定判決・調停調書・審判書・公正証書などの債務名義が必要です。債務名義を有していない場合は、まずは債務名義を獲得するための申し立て等をしなくてはなりません。

また、債務名義を有していても、強制執行等の申し立てを個人で行うのは難しいと感じる方も多いでしょう。ベリーベスト法律事務所は、円滑な養育費の回収を目指して、お客さまのために誠心誠意尽力いたします。

養育費に関するトラブルにお悩みの方、配偶者との離婚をご検討中の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 北九州オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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